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「ネクタイって形はシンプルだし、作るのはそんなに難しくないんでしょ」以前、そんなことを言われたことがあります。スーツやコートのような、見るからに複雑そうに見えるモノと比べれば、簡単に感じられてしまっても仕方ないのかもしれません。ただ実際に、ジーンズの職人さんや、シャツの職人さんに見学をしていただいたこともありますが、口を揃えて「私たちには無理だ」とおっしゃられました。出来ないというと、誤解を生んでしまいそうですが、逆に私もジーンズやシャツを仕立てるノウハウは持っていません。得意分野が違うといった考え方になるのですが、ネクタイ縫製というのはその中でも少し特殊な技術になります。このブログでは、ネクタイ縫製のプロフェッショナルとしてのこだわりを伝えさせていただきます。

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ネクタイ縫製の職人「株式会社笏本縫製」のこだわり。”あたりまえ”のことを”あたりまえ”に続けてる。

ネクタイには様々な工程が存在しています。効率化や機械化が進んでいる中で、昔ながらの機材や人の手でなければできない作業がたくさんあります。職人の高齢化や後継者の不足によって失われつつある技術もたくさんあります。だからこそ、お客様に喜んでいただけるネクタイをお届けするために”技術を高め繋いでいく”ことは、私たちの使命だと考えています。ひとつずつ紹介をさせていただきますので、最後までお読みいただけますと幸いです。

 

■生地

 

ネクタイの生地といえばシルク(絹)です。シルクは柔らかく、しなやかなで繊細な繊維なので、細部にわたるり心使いが必要です。特に乾燥する時期などは、職人の「手のメンテナンス」をしていないと、”指のささくれ”などがあったりすると、せっかくのキレイな生地にキズをつけてしまいます。とはいえクリームなどを塗り過ぎると油シミにもなってしまったりという事もあります。だからこそ、日常から職人は手をキレイに保つことも求められています。私たちが採用している生地は厳選しており、京都の西陣、山梨の富士吉田にある工房の職人さんと連携して作っています。長年にわたり、ネクタイに携わってきた縫製のプロと織物プロがディスカッションを繰り返し、生み出す生地は高密度で美しい艶感を感じさせます。多彩なデザインやカラーを組み合わせ、より魅力的な商品を提供する為に、妥協をしない仕事から高い評価を得ています。

 

■裁断

 

ネクタイを作る上で重要なのが「歪みのない伸縮性」です。設計図を描く際も、生地にハサミを入れる際も、45°の角度にこだわって裁断をしていきます。いわゆる「バイアス裁断」と言われるものですが、簡単に言えば「バイアス裁断」=「伸びる」と思っていただければ間違いありません。これは、裁断するのも針を入れて仕立てるのも、他の商材とは異なる難しい技術と集中力を必要とします。特に裁断は一度ハサミを入れるとやり直しがきかない、一発勝負なので、いつでも緊張と隣り合わせです。

 

■縫製

 

設計通りに正確に裁断した生地を、一つ一つ縫い合わせていきます。裁断のところでも書きましたが、常に伸縮する方向に裁断をした生地を扱うわけですから、少しでもずれると柄の出方や商品の使用感や質感にまで影響が出てしまいます。さらに、素材もシルクが多く、細い繊維を扱っているため、少しの気の緩みや手の使い方でキズを作ってしまいます。細かな所にまで注意を払って、一つ一つにパーツを組み合わせていきます。また、平面に縫い付けるようなイメージを持たれがちですが、実はネクタイの先端部分(大剣、小剣)は、美しさを出すために立体的な内部構造をしているため、自動化が非常に難しいのです。私たちは、職人の手の感覚に頼って、ひとつづつ仕立てています。

 

■ソフトプレス製法

ネクタイを形にしていく中で、このプレスは、いわゆる「お化粧」のようなものです。より美しいネクタイを作るにはメリハリのあるお化粧をする必要があります。具体的には、形を決めるべき剣先部分はプレスをしっかりかけて角を出します。そして、ふんわりとした風合いを出すべきエッジ部分には絶妙なバランスでの力加減が必要になります。これも、自動機にたよってしまうと技術は必要な今でも、そうしてもペッタンコの仕上がりになってしまいますから、人の目や手の感覚でやわらかい仕上げをしています。

 

■手縫い仕上げ

いろんな方に見ていただいて驚かれるのですが、ブランドネームや閂などの細かい作業も手作業で行っています。というのも、ネクタイは芯を包み込むように作るので、形状としては『筒』のようになっています。ミシンなどの機械を使った場合、表に貫通してしまうので、表に影響を出さないように一つ一つ掬い上げるように手で仕立てていきます。角度から組み合わせ、プレスや手縫いの細かさ。いろんなことにこだわって、良いネクタイは完成していきます。

たくさんのことはできないかもしれませんが、一つのことは絶対に妥協せず、プロフェッショナルとしてネクタイ縫製に携わっていきたいと思っています。単にネクタイを作るだけなら私たちでなくても良いのかもしれません。しかし、私たちを選んでくださる方々は、私たちの想いに共感してくださり、お客様により良いモノを提供したいと思ってくださる方々ばかりです。そんな想いに応えるオンリーワンのファクトリーとして私たちはあり続けたい。お客様に喜びを提供し、作り手もめいっぱい幸せになれる環境を作っていくことが、私たちの目標であり、夢なんです。

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