「ネクタイって形はシンプルだし、作るのはそんなに難しくないんでしょ」
以前、そんなことを言われたことがあります。
しかし、実際にやってみて頂くと、サジを投げられるケースも少なくありません。
確かに、スーツやコートのような、見るからに複雑そうに見えるモノと比べれば、簡単に感じられてしまっても仕方ないのかもしれません。
実際に、ジーンズの職人さんや、シャツの職人さんに診ていただいたこともありますが、
口を揃えて「私たちには無理だ」とおっしゃられました。
出来ないというと、誤解を生んでしまいそうですが、
逆に私もジーンズやシャツを仕立てるノウハウは持っていません。
得意分野が違うといった考え方になるのですが、
ネクタイ縫製というのはその中でも少し特殊な技術になります。
では、ネクタイ作りの難しい所と、どうこだわっているかをお伝えさせて頂きます。
ネクタイの生地と言えばシルク(絹)です。
シルクは柔らかく、しなやかなで、繊細な繊維なので、細部にわたるり心使いが必要です。
その生地は、山梨の厳選した織物工場と連携し提供いただいています。
長年にわたり、ネクタイに携わってきた縫製のプロと織物プロがディスカッションを繰り返し、生み出す生地は高密度で美しい艶感を感じさせます。
多彩なデザインやカラーを組み合わせ、より魅力的な商品を提供する為に、妥協をしない仕事から高い評価を得ています。
ネクタイを作る上で重要なのが「歪みのない伸縮性」です。
設計図を描く際も、生地にハサミを入れる際も、45°の角度にこだわって裁断をしていきます。
いわゆる「バイアス裁断」と言われるものですが、簡単に言えば「バイアス裁断」=「伸びる」と思っていただければと思います。
これは、裁断するのも針を入れて仕立てるのも、他の商材とは異なる難しい技術と集中力を必要とします。
特に裁断は一度ハサミを入れるとやり直しがきかない、一発勝負なので、いつでも緊張と隣り合わせです。
設計通りに正確に裁断した生地を、一つ一つ縫い合わせていきます。
裁断のところでも書きましたが、常に伸縮する方向に裁断をした生地を扱うわけですから、少しでもずれると柄の出方や商品の使用感や質感にまで影響が出てしまいます。さらに、素材もシルクが多く、細い繊維を扱っているため、少しの気の緩みや手の使い方でキズを作ってしまいます。
細かな所にまで注意を払って、一つ一つにパーツを組み合わせていきます。
また、平面に縫い付けるようなイメージを持たれがちですが、実はネクタイの先端部分(大剣、小剣)は、美しさを出すために立体的な内部構造をしているため、自動化が非常に難しいのです。
私たちは、職人の手の感覚に頼って、ひとつづつ仕立てています。
ネクタイを形にしていく中で、このプレスは、いわゆる「お化粧」のようなものです。
より美しいネクタイを作るにはメリハリのある化粧をする必要があります。
具体的には、形を決めるべき剣先部分はプレスをしっかりかけて角を出します。
そして、ふんわりとした風合いを出すべきエッジ部分には絶妙なバランスでの力加減が必要になります。
これも、自動機にたよってしまうと技術は必要な今でも、そうしてもペッタンコの仕上がりになってしまいますから、
人の目や手の感覚でやわらかい仕上げをしています。
いろんな方に見ていただいて驚かれるのですが、
ブランドネームや閂などの細かい作業も手作業で行っています。
というのも、ネクタイは芯を包み込むように作るので、形状としては『袋』のようになっています。
ミシンなどの機会を使った場合、表に貫通してしまうので、表に影響を出さないように一つ一つ掬い上げるように手で仕立てていきます。
角度から組み合わせ、プレスや手縫いの細かさ。
いろんなことにこだわって、良いネクタイは完成していきます。
そこにあるのは単純なものです。
プライドです。
そして願うのは、
お客様の喜びです。
たくさんのことはできないかもしれませんが、
一つのことは絶対に妥協せず、プロフェッショナルとしてネクタイ縫製に携わっていきたいと思っています。
ネクタイを作るだけなら、私たちでなくても良いのかもしれません。
しかし、私たちを選んでくださる方々は、高い目標を持ち、より良いモノをお客様に提供したいと思っている人ばかりです。
そんな想いに応えるオンリーワンのファクトリーとして私たちはあり続けたい。
「こんななネクタイ作れないか?」
「一緒に商品開発をしたい」
「提案してほしい」
といった要望も承りますので、お気軽にお問い合わせください。
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