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私は岡山県津山市で小さなネクタイ工場の三代目として働いています。

普段は誰もが知っている有名なブランドのネクタイなどを仕立てる仕事をしています。

それと同時に2015年に立ち上げた自社ネクタイブランド【SHAKUNONE(シャクノネ)】を展開しています。

 

と言えば聞こえは良いかもしれませんが、実際は「誰も知らない田舎の小さな下請け工場」です。

しかも、課題や問題だらけでいつ潰れてもおかしくない工場だったんです。

抱えていた課題はこういったものでした。

従来の商習慣の中では、製品が作られてお客様の手に届くまでには多くの中間業者の方々が関わっています。
もちろんこういった中で構築されてきたものもあると思いますし、大切な機能を果たしている場合もあることでしょう。

しかし、この商習慣の中で我々が抱えていた具体的な問題点がありました。

・典型的受注依存体質
・顧客(消費者)との関係性が構築されず孤立状態
・圧倒的パワーバランスによる言いなり体質

そのことにより、「お金」も「仕事」も第三者にコントロールされてしまっており、どんどんえいえいは苦しくなっていったのです。

これは誰のせいでもなく、そういった状況を作り出してしまっていた自らにあるのです。

小さな会社で、潰れたって世の中に大きな影響があるような会社ではないでしょう。
そもそも誰も知らない会社が人知れず無くなったところで世間的には全く問題はありません。

ただ、私にとっては違います。

祖母が創業し、母が守ってきた会社であり、私が育ってきた背景にある『原点』でもあるのです。

・積み上げてきた確かな技術
・信じて毎日ついてきてくれるスタッフ
・毎日聞いてきたミシンやアイロン蒸気の音

その、すべてが私にとってはたいせつな宝物です。そして未来に繋いでいきたいものなんです。

だからこそ現状を打開する為に2つのことを行いました。

1つ目がブランディング。

自社の技術と経験、さらにお客様の声を活かしながら具体的な商品企画を行いブランドを作りました。

2つ目がクラウドファンディング。

※クラウドファンディングとは。 ←(クラウドファンディングプラットフォームCAMPFIRE参照)

ブランドもただ作っただけでは意味がありません。
「知られていないうち」「評価されていないうち」は『存在していないことと同じ』です。

作り上げたブランドを発信しつつ真価を問う意味も込めて挑戦しました。

この挑戦を始めるときには、そのどちらも、

・田舎からそんな事ができるわけがない。
・通用するわけがない

と、厳しいお言葉をもらったり、時には馬鹿にされることさえありました。

しかし、今挑戦をしていないことは決して『現状維持』ではありません。
そんなカタチであれ挑戦していないことは『その瞬間から衰退がはじまる』ことだと強く思っていました。

だからこそ、トライ&エラーを繰り返し、時には叱られながらも挑み続けました。

結果、2017年2018年と2度のクラウドファンディングを行い、たくさんの方に支えられて大きな成果を上げることができたのです。

 

①2017年実施プロジェクト ②2018年実施プロジェクト

※2019年7月時点で、この2つのプロジェクトは『ネクタイ』に関するクラウドファンディングプロジェクトで、目標達成額、日本1位と2位の実績となっています。

この挑戦をキッカケに、大手有名百貨店からの問い合わせも入るようになり、販路開拓にも繋がりました。

そしてさらに、デザイン性やクオリティ、ストーリー性などが総合的に高い評価を得たことで、

      

2019~2020にかけて、業界最大手とのブランドコラボレーションで全国展開を予定しています。

この挑戦と小さな成果の積み重ねで気づいたことがあります。

成果が出ていなかったのは魅力がなかったからではなく、
挑戦をしていなかったからだと言うことです。

日本にある会社のうち有名な大企業はほんの一握りで、90%以上が名前すら知られていない小規模事業者です。

その中で、私と同じような悩みや課題を持っている人たちはたくさんいらっしゃるでしょう。

多くの方が『自分は弱者だ』と嘆いているかもしれません。
ですが、決してこの世は『弱肉強食』ではありません。
この世は『適者生存』です。

自分の個性や魅力を最大限に高めて状況や環境に適応していくことこそが大切です。

大企業は大きな車です。
急カーブを曲がったり、細い道に入ったりは得意ではありません。

その点、小規模事業者は軽四です。いや、自転車かもしれません。

その時その状況に応じていけば良いのです。

だからこそ、明日でも明後日でもなく、『今』真剣に考えて、挑戦する覚悟が必要です。

たぶん、失敗することもあるでしょう。

正直、私も人より失敗が多い人間の一人です。

ただ、それは挑戦しているからこその失敗です。挑戦をしていない人には失敗も成功もありません。
だから失敗を恥ずかしがらずに怖がらずにやってみてほしいと願っています。

 

こうして書いてはいますが、前述したような私たちの課題がすべて解決したわけではありません。

今ぶつかっている壁や、従わないといけない環境はまだまだあります。

しかし、そうしたものもこの先乗り越えて、誰かの筋書きではなくて、自分で描いた物語の先にある結果にこだわっていきたいと思っています。

そのモノガタリの中にあるのがSHAKUNONE(しゃくのね)であり、このブランドを通して私たちは、①魅力的なモノヅクリ②価値創造③情報発信をして、自社や地域をアップデートしていきたいと思っています。

是非ネクタイブランドSHAKUNONE(シャクノネ)を知っていただき、自分の特別な一本に、そして大切な人へのプレゼントとして、当ブランドをお選びください。

少しでも多くの方にこういった会社やブランドがあることを知っていただきたい。
これは私たちの会社だけではなく、こういった会社が世の中にはたくさんあるのだということを知っていただきたいです。

時代は変わります。

人も変わります。

価値観も変わっていきます。

それでも変わらない原点や原体験を大切にしていけるような挑戦をしていきたい。

そう思っています。



大切な人を想うことからすべては始まります。

自分の特別な一本に。
大切な人へのプレゼントとしてもお選びください。

オンラインショップはコチラを御覧ください。
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自社ブランドSHAKUNONE【笏の音】の誕生のお話。
実家は祖母の代からの縫製工場。
幼少期はまだ現在の工場の場所ではなく、自宅の一部で縫製加工を営んでいました。
遊び場は山か工場の段ボールの中という幼少期を過ごしました。

 

当時から、夜な夜な仕事し、苦労している家族の姿を見ていたため、正直縫製の仕事をしようとは思っていませんでした。

学生時代は部活動で剣道に打ち込み、家業の手伝いをすることもほとんどなく成長していき、進路選択を迫られる時期を迎えました。

そこで、小さいいころからなりたいと思っていた「美容師」になるための道を選びました。
根拠はカッコ良さそうだからという、単純な憧れでした。

数年間美容師として勤め、辞める気などまったくありませんでした。

しかしある日、一時的に現社長の体調が悪くなり、繁忙期ということもあり
サロン勤務終わりに夜な夜な家業を手伝うことになりました。

 

そこで大きく考え方が変わりました。

 

大人になってみて改めてみた家業の内容。
肌で感じた情熱。
高い技術力。

衝撃でした。

 

正直、周囲で縫製に携わる仕事をしている同年代もいませんし、どちらかというと、
カッコ悪い仕事(失礼ですが)と思っていました。

体感してみて、カッコ悪くなんかない。
こんなすごい技術を持って、業界の縁の下の力持ちとして仕事をしてきたのかと思いました。

その体験から感じたことは、、

自分が育ってきた背景、ストーリーにはこの仕事がある。

 

自分には自分の人生がある と思っていたのですが、実際仕事として体感すると、今の自分と、家業を切り離して考えられなくなりました。

それを感じたことで、一気に興味が湧き、お勤め仕事の美容師を辞め、

家業の縫製加工業に飛び込みました。

とは言っても、楽な仕事は全くなく、以前勤めていた時より厳しく、

大変でつらい思いばかりでした。

モノづくりは楽しいのですが、大手販売店の商品を受注したメーカーの依頼を受けて、商品を加工する下請けの小さな町工場という現状で、

 

良い商品を作っていて信頼できるモノづくりをしているから安定した発注が来ている

という自負はあったものの、ふと考えたときに、一つのことを思いました。

『苦労してよい商品を作っているけど、この商品を作っているのが片田舎の我々だということを誰が知っているのだろう』

これを考えたときから、

『自分たちが考えて、作りあげた商品を、自分たちが作ったとアピールして、直接お客さんの反応がみたい』

という風に考えるようになりました。

下請け業者として、とか、職人として、とか

表に立つべきではないとか、主張しすぎとか、立場がどうとか。

そんな声もありましたが、でもここで何もしなくて、発信して行くことはできないという思いから、

自分たちがやっている事業やモノづくり、商品を改めて見つめなおし、
持っている技術力+デザイン+価値化を行い、
ファクトリーブランドSHAKUNONE【笏の音】を生み出しました。

と言っても、まだまだ生まれたてのブランド。

 

決して華やかとはいえない縫製の仕事ですが、

生地を製品に変貌させることができる縫製は裏方として無くてはならない存在で、

見えない部分で当たり前のことをやる仕事かと思います。

その当たり前をつきつめて得た経験と技術を存分に活かした縫製の仕事がカッコ悪いわけがない。

そんなおもいも込めて、これからもっと磨いて育てていかなければいけません。