ネクタイのデザインや色味、また選び方や結び方について様々な記事がありますが、
作り方や構造について書かれているものは多くはありません。
そもそもネクタイに芯が入っていることを知らない方もいらっしゃるのではないかと思いますので、その意味と効果について書かせて頂こうと思います。
ネクタイは結んだり解いたりを何度も繰り返すモノです。
そのため、型崩れしないように、内部には芯地を入れているものがほとんどです。
中には《セッテピエゲ》という表地をたっぷり使って芯を用いない製法もありますが、どちらかというとスーツスタイル上級者向けとのものになります。
そのため、ベターにネクタイを選ぶ場合に出会うネクタイとしては芯地の入ったモノが多いことでしょう。
『ただ当り前に入っているもの』と侮るなかれ。芯には重要な役割がありますので、紹介させていただきます。
①型崩れ防止
既に説明をしていますが、まずこれが前提です。
ネクタイは「結ぶ」ということが前提に作られるアイテムです。
普通に使っていても、結び目には思いのほか負荷がかかってしまいます。
そして用いられる生地はシルク素材が多く、一般的なシルク生地は繊維が細く生地だけでは非常に薄いモノになっています。
なので、芯を入れることでキチっとした形が持続するように芯地が入っています。
②風合いの調整
芯によって同じ生地でも仕上がりの差が大きく出ることを知っておいていただきたいです。
例えば、薄い生地に薄い芯を使用した場合、結果的にペラペラの商品に仕上がります。
逆に、厚手の生地に起毛のかかった厚手の芯を使用した場合、ゴワゴワした商品に仕上がります。
もちろん、そういったものが良いと意図的に作り込む場合は問題ありませんが、一般的にはバランスが良くありません。
実際には、厚手の生地には薄目の芯、薄手の生地には厚手の芯と、特性を捉えバランスが取れる組み合わせをチョイスするといった、工夫が施されています。
@そして、豆知識ですが、シンプルに作られているように見えるネクタイですが、実は立体構造になっていてとても手間がかかるものなんです。芯においても、ただ入っているわけではなく、生地と芯が密着するように縫い付けてあったり、伸縮性を持たせるようにループを仕込んだりと、手間をかけて作っています。
アナタがネクタイを手に取る機会があるなら、芯がはいっているか?どんなものが用いられているか?といったところも見ながら選んでみてください。