こんにちは。
ネクタイブランドSHAKUNONE’プロダクトマネージャーの笏本です。
ブログやSNSではブランドのこと中心に情報発信をしてはいますが、普段は縫製の職人も兼ねていますので、
今日は縫製の職人として書かせていただきたいと思います。
これからのアパレル業界はどうなっていくのか?
国内でのモノづくりをしている業界人の人は少なからずの不安を抱えていると思います。
特に現場(工場)では、人材の高齢化や技術の継承ができておらず、現役の高齢職人が居なくなったら廃業を余儀なくされるケースも少なくないはずです。
なんでそうなったか?
・海外生産拠点への移行
・外国人自習生依存
・ファストファッションの台頭etc・・・
言い出せばキリがないでしょうし、アパレルの中でも数多ある業種業態のはそれぞれの原因や問題点があるはずです。
細かく問題や課題を理解しておくことはもちろん重要ですが、根本原因として『低賃金の職業』という現実を受け入れなければなりません。
若い人材を集めて、新しい機材やITの導入などしていくことは、事業発展、また承継に重要なことだと思うわけですが、どれもお金がないとできません。
資金がなく原動力がなければ、どれだけ想いや願いや心意気があってもどうにもなりません。
現実的に縫製工場にそれを求めてみても、出来ないところが99%くらいじゃないかと思うんです。
スタッフの賃金を上げるためには、加工費用を上げるか、受注数を増やすかの2択、もしくはその両方を実現させることが必要です。
しかし、現実では、加工費の下げ止まりはしたものの、上がり続けていく人件費に対して加工費は上がらない状況。
これでは実質、利益が減少しているのと同じことだというのは誰にでもわかることだろうと思います。
さらに、工賃を上げることは、その商品の店頭売価を上げることにつながります。
販売店はどこも値上げには消極的ですし、
よっぽどのことがない限り【値上げ=販売数の低下=売上減少】に直結してしまいます。
だから、元受けとしても、加工費のUPを受け入れられず、下請けは収入減になるところが多いのが現実です。
このような環境では、もちろん賃金UPなんてできません。
そうなると、働く人材もいなくなる。
単純な悪循環です。
さらに、今まで安くても維持できていた根本の要因である『安定生産量』も揺るぎ始めたところが多いように思います。
中長期的な計画も立てづらい経営者としては、現状打開のための投資に踏み切れないのも当然のことです。
できることに取り組もうとしているところは、自社ブランド展開などに挑戦している工場もありますが、そんな中で成功する工場はほんの一握りで、それも、頭一つ飛び出ようと掴んだチャンスさえ潰されてしまうケースもあります。
そう。出る杭はボッコボコにされることも珍しくないんです。
最近、芸能界で、事務所をやめたタレントがテレビに出られないように妨害や圧力をかえたのではないのは?
という疑惑もありましたが、縫製工場や関係先の中でもそんなことは往々にしてあると思います。
日本の繊維産業は徹底した分業制で成り立ってきたせいで、なかなか簡単には変われないのが実際のところでしょうが、
本当にサスティナブルな生産環境を創出していくには、根本的な仕組みの改善が必要だと強く思います。
どうせ自分にはできないんだと思いながら読んでいる方、それではきっと何もできないでしょう。
私もそんな中の一人でした。
確かに、一人一人は弱い立場に立っているかもしれません。
しかし、その立場から動く人たちがたくさんいれば、きっと大きな波を作ることができるようになります。
自分たちには関係ないと思っていることほどもったいないことはないと思います。
自分たちの未来は誰も代わりに作ってくれません。
だから、動いていこうと思っています。
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