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自社ブランドSHAKUNONE【笏の音】の誕生のお話。
実家は祖母の代からの縫製工場。
幼少期はまだ現在の工場の場所ではなく、自宅の一部で縫製加工を営んでいました。
遊び場は山か工場の段ボールの中という幼少期を過ごしました。

 

当時から、夜な夜な仕事し、苦労している家族の姿を見ていたため、正直縫製の仕事をしようとは思っていませんでした。

学生時代は部活動で剣道に打ち込み、家業の手伝いをすることもほとんどなく成長していき、進路選択を迫られる時期を迎えました。

そこで、小さいいころからなりたいと思っていた「美容師」になるための道を選びました。
根拠はカッコ良さそうだからという、単純な憧れでした。

数年間美容師として勤め、辞める気などまったくありませんでした。

しかしある日、一時的に現社長の体調が悪くなり、繁忙期ということもあり
サロン勤務終わりに夜な夜な家業を手伝うことになりました。

 

そこで大きく考え方が変わりました。

 

大人になってみて改めてみた家業の内容。
肌で感じた情熱。
高い技術力。

衝撃でした。

 

正直、周囲で縫製に携わる仕事をしている同年代もいませんし、どちらかというと、
カッコ悪い仕事(失礼ですが)と思っていました。

体感してみて、カッコ悪くなんかない。
こんなすごい技術を持って、業界の縁の下の力持ちとして仕事をしてきたのかと思いました。

その体験から感じたことは、、

自分が育ってきた背景、ストーリーにはこの仕事がある。

 

自分には自分の人生がある と思っていたのですが、実際仕事として体感すると、今の自分と、家業を切り離して考えられなくなりました。

それを感じたことで、一気に興味が湧き、お勤め仕事の美容師を辞め、

家業の縫製加工業に飛び込みました。

とは言っても、楽な仕事は全くなく、以前勤めていた時より厳しく、

大変でつらい思いばかりでした。

モノづくりは楽しいのですが、大手販売店の商品を受注したメーカーの依頼を受けて、商品を加工する下請けの小さな町工場という現状で、

 

良い商品を作っていて信頼できるモノづくりをしているから安定した発注が来ている

という自負はあったものの、ふと考えたときに、一つのことを思いました。

『苦労してよい商品を作っているけど、この商品を作っているのが片田舎の我々だということを誰が知っているのだろう』

これを考えたときから、

『自分たちが考えて、作りあげた商品を、自分たちが作ったとアピールして、直接お客さんの反応がみたい』

という風に考えるようになりました。

下請け業者として、とか、職人として、とか

表に立つべきではないとか、主張しすぎとか、立場がどうとか。

そんな声もありましたが、でもここで何もしなくて、発信して行くことはできないという思いから、

自分たちがやっている事業やモノづくり、商品を改めて見つめなおし、
持っている技術力+デザイン+価値化を行い、
ファクトリーブランドSHAKUNONE【笏の音】を生み出しました。

と言っても、まだまだ生まれたてのブランド。

 

決して華やかとはいえない縫製の仕事ですが、

生地を製品に変貌させることができる縫製は裏方として無くてはならない存在で、

見えない部分で当たり前のことをやる仕事かと思います。

その当たり前をつきつめて得た経験と技術を存分に活かした縫製の仕事がカッコ悪いわけがない。

そんなおもいも込めて、これからもっと磨いて育てていかなければいけません。