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ひいおばあちゃんとの約束。「私が最初のお客さんね…」

ひいおばあちゃんに伝えたい「ごめん」と「ありがとう」

小さいころから美容師になりたいと思っていました。学校の先生には「大学に行きなさい」と何度も言われましたが、家は田舎の縫製工場経営。裕福ではなかったし、母子家庭で3人兄妹の長男。やりたいことを実現するためにも高校を卒業したら働こうと思っていました。美容師になるには、専門学校に通わないといけませんが昼間の学校に通うお金は当然なかったので、美容室に就職して働きながら”通信課程”で資格取得を目指しました。通常2年かかるところが3年になりますが、そのぶん学費も抑えられるので特に迷わず決めました。

 

とはいえ、母からも「大学に…」とか「公務員に…」と言われました。まあ、田舎で公務員になれれば安泰というイメージは僕も持っていたし、大学に行ってキャンパスライフを楽しみたいって気持ちもありましたが、やりたいことをやれるほうがいいと、美容師の道へ進みました。そのとき、一番最初に「たっちゃんがやりたいんなら、なんでもやればええ。頑張って美容師になりんちゃい」と言ってくれたのが、ひいばあちゃんでした。

 

 

やばい。学費が払えない。

学校の先生や親のススメを断って自分のやりたいことをやっていました。だから全部自分の責任と思ってやっていましたが、美容師のアシスタントはあまり給料が高いわけでもありません。節約をしながらの生活。教材の費用や学費も払いながら頑張っていました。そんな生活をしているとお金が足らなくなることなんて当たり前。だけど親にも心配をかけたくありませんでした。だから、無理を承知でひいばあちゃんに泣きついたんです。

 

ひいばぁ、ごめん。学費が足らないから20万円貸して。絶対返すから。

 

家族がいない時間を狙ってひいばあちゃんに頼みに行きました。そのとき、ひいばあちゃんから”ある条件”が出されたんです。

 

私が最初のお客さんね。

事情を黙って聞いてくれたひいばあちゃん。僕が一方的に話をしていたと思います。それを、特に質問をすることもなく、ただただ聞いてくれていました。そして、口を開いたときに出した条件が『じゃあ、私を最初のお客さんにしてね』というものでした。ぼくが「わかった」と返事をすると、タンスの中に入っていたボロボロの郵便局の封筒の中から、20万円を出して手渡ししてくれました。そのときのひいばあちゃんは98歳。一日でも早く約束を果たそうと、毎日のレッスンや勉強を頑張りました。そして約束を果たす日がきたんです。

 

初めてひいおばあちゃんの髪を切った日

2月5日。寒い日。働いている美容院の電話が鳴りました。受話器の向こうから震える母の声。

ひいばあちゃんが死んでしもうた。

僕は急いで実家に帰りました。

 

そこには冷たくなって動かないひいばあちゃん。100歳。老衰。声をかけても反応しない。
借りた20万円も半分しか返せてない。最初のお客さんにもなってもらえてない。心の中で『約束、守れなくてごめん』と何度も何度も言いました。

 

葬儀の日程も決まり、準備をしていく中で母から言われました。「ひいばあちゃんの前髪が目にかかるくらい長いじゃろ。あんたが切ってあげんちゃい」
細くて白く、少なくなった前髪が伸びて少しだけ目にかかるくらいの長さ。僕はまだお客さんの髪を一度も切ったことのない、ピカピカのハサミを出してきて、もう開くことのないひいばあちゃんの目にかかった前髪を切りました。

 

半年後に泣いた

葬儀が終わって半年後。少しずつ片づけをしていたひいばあちゃんの部屋。一通りキレイにはなっていましたが、ふと部屋に入って昔の写真を見たりしていました。そんな中で、ふとタンスに目をやったとき、隙間に白くて小さな紙の端っこが見えました。普段だったらあまり気にもしないのですが、手を伸ばしてとってみたんです。それは、正月にお年玉を入れるような小さなポチ袋。そこには『たっちゃんへ散髪のお金』と書いてあり、中を見てみると”

3,000円”が入っていました。ひいばあちゃんから20万円を借りるときの条件。『私が初めてのお客さんね』という約束。ひいばあちゃんはきっと、その日のために忘れないようにお金を用意してくれていたんだと思って、溢れる涙は、上を向いても止まりませんでした。

 

限りある時間の中で叶えられることは少ないし、一緒に過ごせる時間は多くないんだと、改めて心に刻みました。

後日、僕は3,000円でひいばあちゃんが好きだった三ツ矢サイダーとおはぎを2人分、お供えのお花を買いました。

 

こんな形でしか約束を守れなくて、ごめんね。

ひいばあちゃん応援してくれて、ありがとう。

 

自己紹介をすこしだけ

僕は今、岡山県の縫製工場の三代目として働いています。おかげさまで美容師の国家試験は一発合格して美容師にはなれました。ただ、途中でも少し触れましたが、母子家庭の長男。母の体調が悪くなったこともあり、今は家業を継いでいるんです。母からは「私の代で潰すから」と言われた縫製工場でした。ですが、戦ってきた母親の姿をみてきたからこそ、この想いごと継ぎたいと思ったんです。継ぐ決意をしたとき、ひいばあちゃんのお仏壇で、『美容師にはなれたよ。けど、お母さんのこともほっとけれんから』と報告をしました。きっと、この決断をひいばあちゃんは怒ってはないと思っています。2015年には夢だったブランドを立ち上げ、「いつか総理大臣に結んでもらえたらいいね」と話していました。途中では苦しいこともたくさんありましたしが、ただ、毎日コツコツと取り組んできたことで、つい先日総理大臣にネクタイを結んでもらうことができました。

 

美容師という夢に向かって突き進んでいたころも、縫製工場の三代目として家業を継いだ今も、ひいばあちゃん、おばあちゃん、お母さんが居たからある未来です。今までも「楽しくない時間」は山ほどありました。けど、『必ずやるから』と約束をしたから、必ずやるんです。だって、限りある時間で叶えられることなんて少ないんですもん。いっしょに過ごせる人の時間も無限じゃない。それは、ひいおばあちゃんが教えてくれたことです。だから、何があっても精いっぱい今を生きていくんです。何者でもない自分たちの出会いや挑戦が誰かに届き、ほんの少しでも何か変わればいいなと思いますすこしだけでいいので、僕たちのことを知ってもらえると嬉しいです。

 

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