blog ブログ

2018年10月18日
 

文字通り、工場発ブランドだと言っていいでしょう。

メーカーやブランドが生産を委託している工場(ファクトリー)が、自らが商品をオリジナル商品開発・販売をするブランドがファクトリーブランドです。

 

企画や販売のやプロデュースの能力は必須になりますが、モノづくりの能力としては非常に高いのが特徴です。

 

一般的には、中間業者を通さない直販価格でコスパが良いとされることも特徴と言えるでしょう。

 

 

さて、ファクトリーブランドが世の中に出てきたのは、ここ数年が際立って多いように感じます。

 

アパレル業界に長く居る人の一部からは、

「工場側(川上)の人間が前に(川下)に出てくるんじゃなくて、今までの業務を突き詰めてやっていけよ」

と言われることもあるようです。

 

今まで工場を《使ってやっていた》というスタンスで考えていた人からすれば、
調子に乗るんじゃないぞ!という感情なのでしょうか。

 

近年でファクトリーブランドが多く出てきた背景には、簡単に3つの理由があると思います。

 

①情報発信の自由

HPを持っているコトなんて当たり前。またInstagram、Twitter、FacebookなどのSNSを使えば、自由に発信していくことができます。

今まで商品を作ったり、販売をしたくてもできなかったのが、オンラインショップだったりSNSを活用することで可能になりました。

上手く発信するとか、売れるというのは別の問題ですが。

②工場の独立化欲求

一般的に下請け工場は表舞台とは縁遠い存在で、さらに発注側に様々な面で影響を受けることが多く、不自由なモノづくりをしているケースが多いのではないかと思います。③にもかかってきますが、ファストファッションの台頭や、海外生産へのシフトを含めた国内生産の環境の変化に対して、工場はとても不利で弱い立場に立ってしまいがちです。

侵されることの無い、独立した柱を立てたいと考えるのは不思議なことではないかと思います。

③利益率、仕事量の減少

先に書いた②のように、不利な立場に立たされがちな工場は、年々上がってくるコストに対応するべく効率化を常に図っています。
ですが、モノの流れは変わってきていて、今までは年間通してあった物量も減少しています。
それでも加工単価は上がることを知らず、利益が確保できなくなってきています。

年間生産数量に対して決定していた加工に対する費用も、仕事量が減ってしまえば上げざるを得ません。が上がらない。
負の連鎖から脱出を図って、直接顧客に販売する方法を選ぶ、

そういった工場がファクトリーブランドとして立ち上げる、というパターンもあるでしょう。

 

すべてのファクトリーブランドに当てはまるパターンかは定かではないですが、

簡単に言えばこんな所じゃないでしょうか。

 

 

さて、《工場は工場でいろよ》といった声をあげられる方が存在することは既に書きましたが、

そういったことを言われる方は、工場に対して十分な仕事と利益を与えることができるのでしょうか。
また、できているのでしょうか?

 

年間の仕事は必ず確保するから、専属工場としてやってほしい。
年間生産数は〇〇万本出すから加工費を〇〇くらいで検討してほしい。

 

といったことを言われていた工場もたくさんあると思いますし、それもつい数年前までのことです。

 

今は状況が一変しています。

 

そんな環境の中で、川上の職人を抱える工場に対して、今までを維持しろということほどナンセンスなことは無いように思います。

 

あくまでこれは、工場目線からの内容で書いていますので、立場が違って不快に感じる方もいらっしゃるかもしれませんが、
これが現実です。

 

なんとなくやっているようなファクトリーブランドも存在するでしょう。

お互い様の部分もあると思いますが、

少なくとも、他人が他人を縛るような仕事や付き合いは、バランスが悪くなるんじゃないでしょうか。

 

 

どんな理由にせよ、想いをもって始めたファクトリーブランドも険しい道を歩いていかなければなりません。

 

その一つが販路。

モノを作ったはいいがどこで売るのか、誰に売るのか、どうやって売るのか。

確かに、web販売やSNSでの発信で行動を起こすことが可能になったとはいえ、ただやっているだけではもちろん売れることはありません。

ブランドを作っただけでは、また商品を作っただけでは意味が無いのです。

 

それに躓いてブランドを辞めるくらいなら、それこそ片手間に初めてみるくらいならやるなと言われても言い返せないとは思います

 

 

私も工場で仕事をしながら2015年にブランドを作りました。

 

それこそ最初は上手くいかなかったですし、今も模索中なことに変わりはありません。

 

立ち上げから3年を超え、なんとかお客様にも支持を頂けるようになってきましたが、辞めたいと思ったことは何度もありました。

 

今やっている苦労はいつまで続くのか不安になることは多々あります。

しかし、考え方次第で、今やっているのは【苦労】ではなく【努力】なんだと思えば、まだまだやっていけそうな気がします。

 

継続して挑戦する工場はみんな成功してくれたらいいなと願っていますし、そんな仲間がたくさん集まればもっと力が発揮できると思えてなりません。